2011年07月23日

SALONE2007(横浜)


『成金趣味のオーナーとソースが作れないシェフが作り出すなんちゃってイタリアン』

 オープン以来高い人気を保ち週末は半年先まで満席。今、横浜でもっとも予約が取りにくいとされている店である。
 過大評価もいいところだろうと思いつつも、ようやく平日に予約が取れたので横浜へ。
 店は元町中華街東門からほど近い一階にある。やはり一階にあるという店というのはそれだけで入りやすく店の格も上がるというものだ。店内は壁に葡萄の金形装飾が回され、コーナーにこれまた葡萄柄のエミール・ガレ風のガラス照明スタンドが立つ。オーナーは葡萄の装飾が好きなようだがどうも黒壁の梁一面に金色の葡萄というのはバブリーで趣味が良くない。もう少し店が大きければ気にもならないであろうが、天井の3つのシャンデリアと相まって客を威圧してくる感がある。同じ装飾でもさりげなく葡萄柄の壁紙などを梁にあしらい、ワイナリーの一室のような穏やかな雰囲気を出す演出のほうが私は好きだ。

 席に着くとこれまた趣味が悪い。カトラリーが机の2/3を締めている。
こんなに左右から大振りのナイフやフォークに攻め込まれたら座った瞬間から息が詰まるぞ。
 私がオーナーならイタリアsambonet社製のbambooシリーズあたりを料理に合わせてさらりと並べるが。まあこれは田舎者、もとい成金オーナーには無理か。

 店員の応対がまたいけてない。料理の説明がまるでテレビの女子アナが天気の説明をしているようだ。
これでは機械がマニュアルを読みあげているようなもので、およそ人間性というものが感じられない。
そんな態度で料理に使われているスパイスを事細かに説明されてもさっぱり記憶に残らない。
しかも姿勢を低くして

ひざまずいての説明

は昭和時代のJALの機内やホストクラブにでもいるかのようだ。
 
 彼らを教育した

藤巻という伝説の店員

がいたそうだが是非ともそいつの接客をみてみたかった。

 料理のクオリティー云々を言う前に私が求めるのはシェフの高い志と基本となる本場での修行、スタッフのプロフェッショナルとしての余裕と矜持、上品な色気をさりげなく感じさせるカトラリーや内装だ。
 オーナーや藤巻マネージャーに

大阪のポンテヴェッキオ本店を見てこい

と言いたい。むこうもバブリーな店でオーナーのナルシストさが前面に押し出されているが、サローネのような成金趣味的ないやらしさがない。

 夜のコースは10,500円の一本。アラカルトの選択肢がないのが
この店の実力の無さを物語る。
 コースは月替わりと言っているが、串刺し肉とスプーン1口の料理、魚の蒸しものという構成は変わらない。
これで毎月通って満足している常連がいるとは笑わせてくれる。

●Inizio (先付け) 山形牛のスピエディーノ

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この料理のためだけに金属製の台が予め机に置かれているという凝りよう。
使われている肉が旨さの全てを握っている。そして串焼きという食べ方が面白い。
霜降りのいい肉を仕入れられたら私でも作れる料理だが先付けとしてはよく考えられている。




●Goloso(強肴)仔牛のテリーヌ サルサ・トンナータ

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まず見た目がとても美しい。
テリーヌというと焼いて作るイメージたがこれはテリーヌ型を使ったゼリー寄せだ。
テリーヌそのものはあっけないほどさっぱりだが、ピエモンテ地方のサルサ・トンナータをつけるととても美味しい。
添えられたグレープフルーツのカンパリ漬けは「お口の中をリセットする感じ、あくまでこれはリセットする感じのものです」と店員が強調していたが、さっぱりしたテリーヌの後に何をそんなにリセットする必要があるのか疑問。そしてこれがこの店の柑橘責めの始まりとなる。
この時点で

このシェフの能力に疑問を持つべきだった。



●Vapore(蒸しもの)鮮魚のヴァポーレ

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皿ごと蒸し器にかけたらしい。本当のオレンジを絞った果汁入りのオリーブオイルを使用とのこと。
とてもおいしいが、この料理にオレンジの風味をあしらう意味がわからない。
柑橘の風味は店の装飾のようにただうるさいだけである。
真鯛とハマグリの出汁とオリーブオイルだけでシンプルに食べたほうが断然美味しい。
ここのシェフ、柑橘系にはまっているのかソースに自信がなくて柑橘に逃げるのか。
どうぞソースをパンにつけて食べてくれと言われたがオレンジ風味のソースとパンはまったく合わなかった。




●Fritto(揚げ物)バッカラとフォンティーナのフリテッレ

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フリテッレには最近蕎麦粉を使用し始めたとのこと。素朴な食感のなかにフォンティーナ(チーズ)の風味が感じられてとてもいい。バッカラ(鱈の塩漬け)は、ちょっと脂っこい味わいと繊維感がスコットランドのカレン・スキンクスのようだ。




●Cereale(ご飯もの) ファロット 赤海老とフェンネルのプレア

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これもまたオレンジが使われている。ここまで柑橘を使うと

私はソースが作れません

と言っているようなもんだ。
オレンジとかフェンネルとか赤海老とか結構個性的な香りがぶつかり合って、結局何食べてるんだか分からない。
面白い実験結果にはなっているけど客に出す料理じゃないな。こういう料理は厨房の賄いで仲間内だけで遊んでいればよい。



●Cucchiaio(スプーン料理)チンタセネーゼのクッキアイオ

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「一口しかないけど20回噛んで!」と指示される。
こんな演出、やる方は楽しいかも知れないがそれにつきあわされている方は拷問みたいでストレスが溜まるだけ。客の立場に立ってサーヴィスというものを考えるならこの料理を堪能できるだけの量を供するべきだ。
 小さなスプーンの上に凝りに凝って重ねた食材は、いったい何が層になっていたんだか全然思いだせない。
白いのはたしかエシャロット?上のハーブはなんだっけ?アーモンドスライスもあったな。
20回噛めといわれたから噛んだら確かに20種類の味がした。これは一種のトリックだろう。
寿司だって20回数えながら食べたらそれなりに口の中で味は変化するものだ。



●Pasta Fresca(自家製手打パスタ)トロフィエ 乳飲み仔羊のラグー、ペペローニ

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 ただでさえ羊の味わいがほとんどない乳飲み仔羊を、臭みを消すためワインだか何だか使っているとあらかじめ言われ私はがっかり。今度から苦手なものはと訊かれたら臭くない羊と告げよう。
そんなに羊の味を消したいなら豚を使えばいいと思うが豚じゃ付加価値の付けようがないしな。
羊の旨さは羊臭さにあると考える私は乳飲み仔羊に名前の可愛いらしさ以外何の価値も見い出せだせない。
それより生まれて間もない乳飲み仔羊さんを使う料理が世の中で流行だしたら羊さんが絶滅しちゃうんじゃないかな。
 そしてショートパスタのトロフィエってこんな白魚のような貧弱なパスタだったかなぁ。
モチモチした食感がまるでない。私の認識ではもう少し太くて先細りしたパスタだ。
盛りつけも少量を大皿に盛るなら真ん中に寄せてぎゅっと高くしないとみすぼらしいぞ。




●Pietanza(皿) 馬ハラミアッロースト パーネスペツィアート

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 馬ハラミは旨い! が、またしても甘い柑橘のソース、
もうやめてくれ!!
パーネスペツィアートはデザートのように甘い。塩味のポテトを付け合わせた方が馬肉と絶対合うと思う。



●Dolce(ドルチェ)マスカルポーネムース ソルベ・ディ・アルビコッカ

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 このソルベ・ディ・アルビコッカは全く謎。これは一般に美味しいと受け入れられるレベルのものなのか。
マスカルポーネムースは美味しかった。



●コーヒーとお茶菓子

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 お茶菓子はステンレスの金属プレートに乗ってやって来る。
先付けと最後のお茶菓子にメタルのプレートを使うというスパルタンな演出はアクセントがあってとても面白い。
 8種類の小菓子はどれもとても美味しかった。
コーヒーはセガフレード・ザネッティ。系列店と同じコーヒーメーカーのカップを使う。



【総括】
●この店のひざまづく接客を絶賛する客は教育程度が低い。

●この店の食べログ高評価は限りなくやらせの疑いが強い。

●内装と大きすぎるカトラリー類は食事の前から私を威圧し成金オーナーの匂いが鼻につく。

●ひざまづく接客を基本としているからかスタッフ一人一人の個性や輝きがない。

●藤巻という店員の個性が強すぎたのであろう、スタッフみんなで店を盛り上げていこうとする気迫に欠ける。

●サ−ヴィスの基本を学びに大阪のポンテヴェッキオ本店に研修に行かれることをお勧めする。

●柑橘系ソースの連続にもううんざり。まともなソースが作れないシェフと見切った。







posted by ブディーノ at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリアン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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