2012年07月30日

高田馬場 鰻 愛川

『店主が客席に挨拶に出て来る鰻屋』

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―入り口―


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―店内―


客を待たせる店シリーズ第二弾は高田馬場 鰻「愛川」。
 
 と言ってもこの店の待ち時間は20分と田園調布の「平八」の半分である。よって注文を受けてから鰻を捌く店ではないということが判る。

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―お品書き―


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―お品書き―


 この店の鰻重は松、竹、梅、菊、葵、鶴、亀の7段階。松は鰻高騰の影響で取りやめにしたようだ。内容の違いは竹、梅、菊は太さの違う鰻の1匹使い。葵、鶴が1匹半で、亀は2匹入っている。この店ではそれらの蒲焼きを「蒸さずに焼く堅焼き」と「蒸してから焼く普通」の2通りの注文が出来る。今回は初回お試しということでグレードは真ん中の「菊」を選び、で「堅焼き」と「蒸し焼き」の2つを注文した。

 江戸の時代から「鰻屋でせかすのは野暮」「蒲焼が出てくるまでは新香で酒を飲む」と言われている。「新香で酒を飲む」とは多分に腹を減らして待てという格言であると理解している。しかし今日は「枝豆」と「冷や奴」が夏らしく美味しそうだったので、それとビールで待つことにした。枝豆はお品書きには「だだちゃ豆」となっているのだが7月にこの豆が市場に出回る事はない。まあ誤記か冷凍のいずれかだが食べた感じでは誤記ということにさせて頂く。

ビールに骨煎餅.jpg
―ビールとお通しの骨焼き―


枝豆にほうれんそう胡麻和え.jpg
―枝豆とお通しのほうれんそう胡麻和え―


冷や奴.jpg
―冷や奴―
 
 
 鰻が焼けるまでしばし待つ間に、少々首を傾げたくなるような事があった。店主が何度も客席に挨拶に出てくるのだ。実に不思議な店である。私の注文した鰻はどないなっとるんやろ。助手がいる気配はないので自動蒲焼き機の上にでも乗ってるんかいな。

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―菊・堅焼き―

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―菊・蒸し焼き―

 運ばれてきた鰻重の「菊」の蓋を開けると、ほんの少し隙間からご飯が見える程度でほぼ私の期待通りの鰻重だ。ちなみに私は鰻重の蓋を開ける瞬間が一番緊張する。鰻がお重に隙間なくびっちり乗っていますようにと期待を込めて開けるわけだが、かなりの確率で裏切られるからだ。焼きは「堅焼き」、「蒸し焼き」双方とも均一な狐色で美しい仕上がりだ。堅焼きはもっと焼きを強くして差を付けてくるかと思っていたがそうではなかった。
 出てくるまでは一抹の不安を抱かせる蒲焼きであったが、大変美味しく見事な出来映えである。「たれ」は甘み、塩分共に濃く、お腹に重めの味付けとなっている。このクラスの鰻屋になると鰻の餌切りが上手く出来ているかなんて心配は無用のようだ。蒸さなければ東京の鰻じゃないとまで思っているブディーノは勿論蒸した蒲焼きのほうが好きだが、堅焼きも慣れ親しんだ関西の鰻を思い出してこれもまた良い。
しかし何かが足りない。 それは炭の香りである。
 
 この店は鰻をガスで焼いている。それも弱火の遠火で焼いていると見た。なるほど店主が何度も客席に出てきていたはずである。もし備長炭を使っていたら火加減が難しくて一時たりとも焼き場を離れる事はできないはずだ。それを思えば池袋「かぶと」の焼き方を誉めてやらなければならない。動きはかなり病的だか、あのこまめさがなければ旨い炭火焼きは出来ない。
 
 この店の蒲焼きには黙っていても「肝吸い」が付く。東京では珍しい良心的な店だ。お通しに付く「骨焼き」や「ほうれん草の胡麻和え」も嬉しい。なによりこの店の「香の物」が実に旨い。次回からは、「おしんこ」を肴に酒を飲む「江戸の作法」で蒲焼きを待つことにしよう。

【総 括】
●堅焼き、蒸し焼き共に大変美味しい。
●ガス焼きなので炭の香りがしない。
●松、竹、梅、菊、葵、鶴、亀の鰻重7段階設定には恐れ入る。
●蒲焼き「肝吸い」付きとは嬉しい限り。
●「おしんこ」の旨さは秀逸。酒の肴になる塩加減と漬かり具合だ。
●店主が焼き場を離れて客席に挨拶に来る希有な店。
●有名店にありがちな「難しい」店主ではなく、のんびりとした人柄。
●女将さんのほんのりとした接客がとてもよい。暫く店を休んだ理由が女将さんの怪我だったと聞きブディーノ納得、夫婦の愛と絆に涙する。
posted by ブディーノ at 13:44| Comment(0) | TrackBack(0) | うなぎ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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